1. スクエア理論とは

スクエア理論は、ソシオニクスの古典理論として1980年代から存在する確立した理論です。Reinin の完全小グループ論(1986)で4タイプ単位の小集団構造が形式的に整理され、シェフテルとコブリンスカヤ(1988)が「スクエア(リラクゼーション群)」を観察的に確立して以来、双対関係を含む4タイプの安定した小集団として広く知られてきました。Sociotype 系の理論資料(socioniko.net)などでも、関連する4タイプ集団が体系的に整理されています。

このページで紹介するのは、この古典的なスクエア理論を Model K の32タイプ系に展開したものです。Model K は新しい理論を提唱するのではなく、既存のスクエア理論を 32タイプ × p/c位置の区別に対応させ、知覚共同体(PC)・判断共同体(JC)という2軸の整理と、Square(休息モード)と Business Square(協働モード)の機能的な区別を加えた拡張に過ぎません。理論の本質は古典スクエア理論にあり、本ページはその理論を 32タイプ系で参照しやすい形に整えたものです。

1.1 古典スクエア理論の原典(シェフテル & コブリンスカヤ, 1988)

古典スクエア理論において、ロシアのシェフテル(Ф. Шехтер)とコブリンスカヤ(Н. Кобринская)が1988年に記述した 「スクエア」群の原典は、本理論の出発点を成す重要な記述です。以下に全訳を掲げます。

「スクエア」群

4人から成る同質的な集団。提示される関係は、準双対(полудополнения)、親族(родственные)、および双対(дополнения)である。

※ Model K における呼称: 古典の「準双対(полудополнения)」関係は、Model K では「帰属関係」と呼びます。同じ価値クラスに「帰属」する家族的な近さを表すためです。本サイトの個別スクエアページでは「帰属関係」表記で統一しています。

「スクエア」は、共に休息するのに最も適した集団である。この集団内の関係は穏やかで、緊張がない。接触の確立に大きな努力を要しない。コミュニケーションはゆったりと、穏やかで、整ったリズムで進む。リラックスすることができる。この集団では理論的な論争は生じない。実用的な問題は速やかに解決される。全員が黙っていても、「監督リング」のような緊張は感じられない。これはリラクゼーションの集団である。

この4人組の中に居ることは、十分に休息し、力を回復する機会を与えてくれる。

ここで考察した諸集団の特性の実用への応用可能性の研究は、心理学者・社会学者・医師の専門家とともに実施する必要がある。他の完全な集団の特性は現在も研究が続けられている。

結論として、現代社会心理学が、これらのミクロ集団の幅広いスペクトラムを、その特性の安定した多様性とともに自らの装備の中に導入することで、人間活動のさまざまな領域における集団の意図的な形成という問題に対する、新しい効果的なアプローチを得ることができる、と付け加えることができる。

— Ф. シェフテル & Н. コブリンスカヤ, 1988

本理論における Sq(Square)モード は、上記の「スクエア」群そのものに対応します。シェフテルとコブリンスカヤが提示した「双対 + 親族 + 準双対」の3関係構造は、Model K では4タイプの内部関係構造として正確に再現されています。リラクゼーション集団としての機能、緊張のないコミュニケーション、力の回復という記述は、Sq モードの集団的本質をそのまま語るものです。

2. 二つのスクエア(PC・JC)

各タイプは、価値知覚2機能と価値判断2機能をそれぞれ共有する4タイプの集団に所属します。

PC ─ Perception Community(知覚共同体)

同じ価値知覚2機能(世界の見方)を共有する4タイプの集まり。賢明/果敢、民主/貴族の軸でクアドラペアを結合します。

例:PC1 Nomads は +Ne-p, +Si-p(可能性 + 心地よさ)を共有する4タイプの集団です。

JC ─ Judgment Community(判断共同体)

同じ価値判断2機能(世界の判定)を共有する4タイプの集まり。陽気/深刻、民主/貴族の軸でクアドラペアを結合します。

例:JC1 Romantics は -Ti-p, -Fe-p(真理 + 感動)を共有する4タイプの集団です。

各 PC・JC はそれぞれ8グループあり、合計16の相性のよい4人組が32タイプ全体を覆います。

2.1 32タイプ全体図

32タイプは、価値知覚を共有する 知覚共同体(PC) と価値判断を共有する 判断共同体(JC) の二つの共同体構造を持ちます。それぞれ8つのスクエア(各4タイプ)に整理されます。

下記に2つの図を掲げます。同じ32タイプが、異なる結合軸でそれぞれ異なるグループ分けに見えることが確認できます。各スクエア名をクリックすると、該当スクエアの個別ページに移動します。

知覚共同体(PC)─ 8つのスクエア

同じ価値知覚を持つ4タイプの集団。Sq(休息)とBSq(協働)が対になって価値クラスを共有します。

民主主義
(De × Qi)
貴族主義
(Qe × Di)
創発賢明
(+Ne × +Si)
拡大果敢
(+Se × +Ni)
伝統賢明
(-Ne × -Si)
支配果敢
(-Se × -Ni)
α
アルファ
自然社会
アンチベータ
市民社会
γ
ガンマ
資本主義
アンチデルタ
革命
δ
デルタ
伝統
アンチガンマ
ユートピア
β
ベータ
帝国
アンチアルファ
特権社会
Sq
休息
スクエア
非合理
Nomads
漂う発見者
Daredevils
大胆不敵
Aesthetes
洗練の目利き
Sovereigns
君臨する権力者
ILE-Q
探究者
IEE-Q
相談役
SEE-Q
演出家
SLE-Q
改革者
IEE-D
広告家
ILE-D
構想家
SLE-D
征服者
SEE-D
政治家
SEI-D
調停者
SLI-D
技工士
ILI-D
戦略家
IEI-D
預言者
SLI-Q
芸術家
SEI-Q
表現者
IEI-Q
空想作家
ILI-Q
批評家
BSq
協働
ビジネススクエア
合理
Edens
もてなしの楽園
Vikings
挑み続ける航海者
Founders
良識の建設者
Knights
大義の騎士団
ESE-D
熱狂者
LSE-D
実務官
LIE-D
開拓者
EIE-D
英雄
LSE-Q
管理者
ESE-Q
調律家
EIE-Q
指導者
LIE-Q
統率者
LII-Q
分析者
EII-Q
哲学者
ESI-Q
審判者
LSI-Q
監察官
EII-D
共感者
LII-D
設計者
LSI-D
執行官
ESI-D
守護者
α γ δ β

判断共同体(JC)─ 8つのスクエア

同じ価値判断を持つ4タイプの集団。Sq(休息)とBSq(協働)が対になって価値クラスを共有します。

民主主義
(De × Qi)
貴族主義
(Qe × Di)
春陽気
(-Fe × -Ti)
秋深刻
(-Te × -Fi)
夏陽気
(+Fe × +Ti)
冬深刻
(+Te × +Fi)
α
アルファ
自然社会
アンチデルタ
革命
γ
ガンマ
資本主義
アンチベータ
市民社会
β
ベータ
帝国
アンチガンマ
ユートピア
δ
デルタ
伝統
アンチアルファ
特権社会
BSq
協働
ビジネススクエア
非合理
Bohemians
自由人
Mavericks
異端派
Hierophants
秘儀執行者
Operatives
工作員
ILE-Q
探究者
SLE-Q
改革者
SEE-Q
演出家
IEE-Q
相談役
SLE-D
征服者
ILE-D
構想家
IEE-D
広告家
SEE-D
政治家
SEI-D
調停者
IEI-D
預言者
ILI-D
戦略家
SLI-D
技工士
IEI-Q
空想作家
SEI-Q
表現者
SLI-Q
芸術家
ILI-Q
批評家
Sq
休息
スクエア
合理
Romantics
浪漫派
Guildsmen
職人衆
Ideologues
思想派
Patrons
責任ある紳士
ESE-D
熱狂者
EIE-D
英雄
LIE-D
開拓者
LSE-D
実務官
EIE-Q
指導者
ESE-Q
調律家
LSE-Q
管理者
LIE-Q
統率者
LII-Q
分析者
LSI-Q
監察官
ESI-Q
審判者
EII-Q
哲学者
LSI-D
執行官
LII-D
設計者
EII-D
共感者
ESI-D
守護者
α γ β δ

3. 二つのモード(Sq・BSq)

各スクエア(PC または JC)は、4タイプの内部関係構造により2つのモードのいずれかをとります。p位置で同期する集団は「探す」共同体に、c位置で同期する集団は「作り出す」共同体になります。

モード同期軸内部関係性格機能
Sq Square 主導-暗示の
p位置同期
双対 + 親族 + 帰属 ~を探す仲間 休息・帰属感・嗜好の共有
BSq Business Square 主導-暗示の
c位置同期
双対 + ビジネス + 共鳴 ~を作り出す仲間 協働・目的志向・連帯

3.1 Sq と BSq の理論的根拠

Square(双対 + 親族 + 帰属)は、シェフテル & コブリンスカヤ(1988)による「スクエア(リラクゼーション群)」の本来の定義に対応します。

Business Square(双対 + ビジネス + 共鳴)は、Reinin の完全小グループ論および Sociotype 系資料で同様の構造として既に言及されているものです。Model K では、同期軸の違い(プログラム位置の同期 vs クリエイティブ位置の同期)に注目し、これら2類型を「スクエア」と「ビジネススクエア」として明確に区別します。

4. 構造的法則

4.1 タイプの2スクエア所属

各タイプは必ず1つのPCと1つのJCに所属します。

4.2 合理性とモードの対称性

タイプの合理性PC所属モードJC所属モード
非合理タイプ(16人)Sq 休息BSq 協働
合理タイプ(16人)BSq 協働Sq 休息

各タイプは必ずSqを1つ・BSqを1つ所有します。自分の主軸領域(知覚 or 判断)では Sq モード = リラックスでき、副軸領域では BSq モード = 協働モードに入ります。

4.3 p/c位置と「探す/作り出す」の構造的法則

スクエアモード(Sq)とビジネススクエアモード(BSq)の機能差は、主導-暗示の同期位置(p / c)に由来します。

  • p位置(プログラム位置):既にあるものを認識し、見つけ出す ─ 共通の対象を探求する仲間
  • c位置(クリエイティブ位置):意識的に外に生み出す ─ 共通の対象を創造する仲間

集団的本質 = 価値機能対象 +「を探す」(Sq) または「を作り出す」(BSq)

この法則により、各PC・JCの集団的本質が一つの式で表せます。同盟ペア(Sq + BSq)は、同じ価値対象に対して、一方が探求し、もう一方が創造する補完関係を持ちます。

5. 同盟と対立

各PC・JCに対して、同盟ペア(価値クラス共有)と対立ペア(価値完全反転)が1つずつ存在します。同盟も対立も、必ず Sq と BSq を跨ぎます。同盟・対立は PC内・JC内それぞれで完結します(PC側と JC側は独立)。

5.1 PC同盟ペア(価値知覚共有)

同盟共有する価値知覚クアドラ
PC1 Nomads + PC2 Edens+Ne+Siα + -β(創発賢明・民主)
PC3 Aesthetes + PC4 Founders-Ne-Siδ + -γ(伝統賢明・貴族)
PC5 Daredevils + PC6 Vikings+Ni+Seγ + -δ(拡大果敢・民主)
PC7 Sovereigns + PC8 Knights-Ni-Seβ + -α(支配果敢・貴族)

5.2 JC同盟ペア(価値判断共有)

同盟共有する価値判断クアドラ
JC1 Romantics + JC2 Bohemians-Ti-Feα + -δ(春陽気・民主)
JC3 Ideologues + JC4 Hierophants+Ti+Feβ + -γ(夏陽気・貴族)
JC5 Guildsmen + JC6 Mavericks-Te-Fiγ + -β(秋深刻・民主)
JC7 Patrons + JC8 Operatives+Te+Fiδ + -α(冬深刻・貴族)

6. クアドラ理論との関係

Model K では8クアドラ(α, β, γ, δ, -α, -β, -γ, -δ)が定義されます。クアドラと PC・JC は異なる集団化の軸を提供します。

クアドラPC(知覚共同体)JC(判断共同体)
共有するもの全価値機能価値知覚2機能のみ価値判断2機能のみ
内部関係同一・双対・鏡像・活性化双対・親族・帰属(Sq) または 双対・ビジネス・共鳴(BSq)
グループ数888
各タイプの所属1つ1つ1つ

各タイプは「1つのクアドラ + 1つのPC + 1つのJC」の3つの4人組に同時に所属します。クアドラは「全価値共有」の最も強い結びつきとして残り、PC・JCは「部分価値共有」のより広い結びつきとして加わります。

6.1 PCとJCがそれぞれ2つのクアドラを内包する

各PC・JCの内部構成は、必ず2つのクアドラから2タイプずつで構成されます。これらの2クアドラは、Model K のベネフィットリング上で隣接するクアドラペアです。

  • PC は「賢明/果敢 + 民主/貴族」の同型クアドラを結合します。
  • JC は「陽気/深刻 + 民主/貴族」の同型クアドラを結合します。

6.2 機能的役割

  • クアドラ ─ 心理的母艦(全価値が一致する完全な居場所)
  • PC ─ 世界の見方を共有する仲間
  • JC ─ 判断観を共有する仲間

人は1つのクアドラに「帰属」する一方、PC・JCで「広く接続」します。この三層構造により、32タイプ系における社会的接続様式が網羅されます。

7. Model K による整理範囲

スクエア理論そのものはソシオニクスの古典理論として既に確立されています。Model K の役割は、これらの既存理論を 32タイプ系上で参照できる形に整えたことに限られます。

古典スクエア理論からそのまま受け継いでいるのは、Reinin の完全小グループ(1986)で整理された16グループの基盤、シェフテル & コブリンスカヤによる スクエア(1988)= 双対 + 親族 + 対角の4タイプ集団、そしてクアドラ・クラブ(アウグスティナヴィチューテ)の集団分類軸との共存です。

Model K の整理によって参照しやすくなったのは、PC(知覚共同体)と JC(判断共同体)の2軸への分離、Sq(休息モード)と BSq(協働モード)の機能的区別の明示、ベネフィットリング上での隣接2クアドラの結合という構造的視点です。これらはすべて、古典スクエア理論で暗黙のうちに含まれていた構造を、32タイプ系の用語で明示的に書き直したものに相当します。

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